アタシは、一人暮らしだ。
なのに、今日玄関ドアを開けたらすぐに、30平米弱の狭い部屋からアタシのお父さんの「ニオイ」がした。ふわんっと。
※ニオイ(匂い・臭い):物から発散されて、鼻で感じる刺激。かおり・くさみなど。臭気。(広辞苑参照)
なになに?お父さん、いつ来た?と本気で思った。
そんなワケない。
実家から車で3時間近くかかるのに、勝手に来て日帰りで戻るわけがない。
どうやらお父さんではなく、アタシから発せられたニオイが部屋に充満していたらしい。
かの有名な「加齢臭」である。
首の後ろから発せられたであろう、ノネナールのニオイだ。枕のニオイだった。
ノネナールはおっさんのだけのモノではない。
加齢臭はオンナも男もないのだ。
もう小娘だった頃の、あの甘ったるい安物シャンプーの香りではない。
香り?否、ニオイになったのだ。
このノネナールもお父さんの遺伝を受け継いでいるようだ。全く同じニオイがした。
嗚呼、なんだか無性に父に会いたくなった・・・。