「ネコとおじいさん」
以前このタイトルで、ホームレスのおじいさんとおじいさんを慕う白いネコの話を書いた。
コレ ↓↓
今回は、実家のネコ「ちー」と今年90歳になるアタシの父との話だ。
ちーが危ない。もう13年生きているので身体が弱っている。
3月下旬、ちーが脳梗塞を発症した。数か月前からよく後ろ足で耳を掻いていたので、ノミダニの仕業と思っていた。動物病院の診察によると、そうではなく中耳炎を患っていたらしい。さらに奥の脳まで侵されてしまったらしく、そのことにより血管が詰まったということだ。
ちーは、人間の脳梗塞と同様に半身不随になり片足に力が入らない。なのでトイレに行かせるときは、父が抱き上げて連れていっている。
...と、いま普通にこれを書いているが、アタシにとっては父親が1匹のネコに対して、そんな優しさがあったのかと驚いている。
父は昭和の初期に生まれた。男ばかり4人兄弟の三男坊だ。なので甘えん坊の「オレ様」で育った人だ。世は男社会、また男尊女卑が甚だしい土地柄もあり、ようするに「自分が1番」の男だった。
そのこともあり、アタシが記憶する父はネコに対する愛情は全くなかったと言っていい。「汚い」「家を荒らす」「腐れ猫!」「捨ててこい!」こんな言葉を発しながら、ネコを足で蹴ったりする男だった。
実家は、昔から常にネコが住んでいた。ネコと御縁があるとしか思えない。ノラが勝手に住み着いたり、人からもらったりしていた。
ちーは、保健所のネコの捕獲からギリギリに逃れたネコだった。すでに捕獲用の檻に入った状態で「ちょっと待ったーーっ!」と、それを見ていた従姉が救い出したのだ。「この猫、なんか光るものがあった。」とタレントのスカウトマンが言うようなセリフを吐いたのを思い出す。しかも贔屓目かもしれないが周りが引くほど賢かった。
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そして可愛いらしさに家族全員メロメロだった。特に父はホントよく可愛がっている。
孫達が手を離れた寂しさもあり、代わりにちーを可愛がっているのかも知れない。
そしてちーも、可愛がってくれる人は誰なのか畜生ながらに解っている。
ちーは、父の寝床まで片足が不自由ながらも、いつもの時間に寝に来るそうだ。ただの習慣なのか、または安心して眠れる場所が父の懐なのか。
「ネコとおじいさん」
動物学的にも結びつかなそうな「種」の二人だが、ふんわりと平和な二人だ。
暖かな日の縁側に注ぐお日様のような雰囲気...
先のブログに書いた、ホームレスのおじいさんと白ネコのそれと同じだ。
13歳の老ネコ、そして90歳になる父。
いつまでもこの日だまりの中で過ごす日々が続いてほしい。
~Fin~